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常に交渉の主導権を握る為には
対人交渉においていかにセールスマッチングを行うかは非常に重要だ。簡単に言えば1万で灰皿を売りたいA君と300円で灰皿を
買いたいB君の交渉が成立する為には両方がどこかで折り合いをつけなければならない。これがセールスマッチングであり、
成約に繋がっていくことになる。しかしながらセールスというのは必ずしも成立するものではない。上のような場合だと成立は
極めて困難であることはよくわかると思う。では具体的に上の例からセールスマッチングについてすこし説明しよう。灰皿の
の原価は3000円、A君は灰皿で利益をあげるには原価以外の経費も含めて4000円以上でないと利益がでない。そして利益を考え
ると4800円より安くは絶対に売りたくないと考えている。一報B君は灰皿などどれでもいいしせいぜい300円程度でなければ買い
たくないと考えている両者の価値の差はA君がギリギリまで譲っても最低4500円の開きがあるわけだ。この段階はB君のの希望
価格の段階である。それではB君はどうすれば灰皿を買う為にもう少し前向きに検討してもらえるのだろうか。
B君の考え:300円ならば買っても良い。これは最初に思い描く希望的予想である。ファーストマッチング
B君の考え:高くても1000円くらいだろう。これはB君がとりあえず出しても良い上限額の設定になる。セカンドマッチング
B君の考え:3000円くらいなら仕方ないか。これはB君が許容できる損害上限である。サードマッチング
B君の考え:○○のサイン入り灰皿なら1万円だすよ。これは欲求の解消に対する支払い上限と言われている。
通常のセールスアピールで誰でも経験を持ってくれば成約できる範囲はセカンドマッチングまでである。ここまでは熱心に説明
する事により折り合いができる潜在顧客といえるだろう。しかしながらこの敷居で成約成果が実際にベルトライン(黒字分岐点)
に到達する顧客は多くない。なんらかの形で相手にそれ以上の折り合い点を出してもらわなければならない。
リードセールスの基本
リードセールスの基本は常に「相手に決定権を譲る」ことである。一見して逆のように思われるが、人というのは相手に決定を
下されたことに関してはとてもデリケートである。その後に何か不安を感じた場合「あの時あいつに騙された」という不信感が
強く反発感情として現れるのである。しかしながら自分で決めたことに関して驚くほど人は正当性を探そうとし始める。よって
例えば高額な買い物をしてしまっても、「でもその分使ったんだし・・・」や「その価値はあるんだし」と思い込もうとする。
貴方がパソコンを買い換えるつもりで家電屋に行くとしよう。店員から勧められ確かに安いであろう特価のパソコンを買うと
新型が発売され一週間後に数万円も安くなっていた。などよくあるケースだと思う。この時貴方はどう思うだろうか?あの店員
に対して文句のひとつも言ってやりたいと思うのが当然ではないかと思う。しかしこれが特価で安い、買おう!と自分の意思で
決定した場合、多くの人が「確かにあの時は安かったし、1週間も早く買ったんだから仕方ないか」と自分に言い聞かせるのだ。
これを意図的に作り出すのがサードマッチングのテクニックである。これは、テレセールスから、訪問営業まで商品販売から、
会員のリクルートまで幅広く応用が効く。具体的に分かりやすく説明してみよう。分かりやすくするためにかなり大げさなのは
勘弁して欲しいところだが、上記の灰皿トークをしてみよう。
A:この灰皿いくらなら買ってくれる?
B:300円かなぁ。
A:最高で出せていくらくらいだと思う?(ここからリードセールスが開始されている)
B:1000円が限度でしょう。
A:タバコを吸う人には灰皿は絶対必要だよね?
B:そうだね。
A:買う買わない別で、お客さんとか来た時に灰皿出すとして普通の灰皿出すのとちょっぴり高価な灰皿だすのとどっちが
見栄えがいいと思う?
B:高価なほうが見栄えはいいよね。
A:だよね、B君がもし他の家に行って良い灰皿と普通の灰皿が2つ見えるところにあって普通の灰皿出されたらちょっといやで
ない?
B:そうだね、すこしは気になるね
A:逆に良い灰皿出されたらどう?
B:気分いいね。
A:だよね、結構好感度アップに使えたりするんだ。ただの灰皿ひとつでも使いようでは結構大きなツールになるよ。
B:そうだねー出す方も優越感に浸れそうだ
A:うんうん、だから高級灰皿って結構人気あるんだ。これなんか1万円するんだよ。
B:さすがに高すぎだね。
A:そうだねー、その分自分のステータスになると思うな。B君なら買うかどうかは置いておいて、最高でいくら位なら出せると
思った?
B:そうだなー1万円は買う気しないけど5,6000円クラスの灰皿なら考えてもいいかもね。
A:それじゃあ、殆ど利益でないんだけどB君になら6000円で売ってあげようか?
B:それなら安いね。買うよ。
さて、貴方はこのやり取りを見てどう思っただろうか?こんな上手く行く筈ないと思ったことだろう。実はこれ、私の実際に
売った時の話である。多少読みやすいように纏めたり、脚色している部分はあるのだが、要所については紛れも無い事実だ。
そしてこの方法はほぼ殆どの相手に通用し、商品が変わっても通用し、私でなくてもある程度通用したのだ。
まず簡単に解説すると2個目の質問の時点から既にリードセールスが始まっている。相手に回答させるように質問系にしている
のだが、全て共通点がある。それは全て予測完了できる答えしかできない質問であるということだ。2個目の質問に関しても
最初から期待額に満たないことを既に予想した上での質問だ。その他の質問は全て「イエス」と言う事が分かっている上で相手
にわざわざ質問しているのである。これは意思決定の誘導なのだが、簡単に言うと誘導尋問に似ている。ただし、この行為は
実際に相手がメリットを感じて貰って、それだけの金銭なり見返りを払う価値があるとしっかり判断してもらった上で成約しな
ければただの悪質商法と同じであり、営業マン以前の問題になるだろう。
そしてもう一つ、「買うかどうかは別として」という単語が2回登場している。これは相手に対して安心感を引き出し、相手の
一番許容できるレベルを聞き出すのには有用なのだ。「イエス」と言わせたいが、あるいは優位に立ちたいが、へたに押すと
逃げてしまう可能性がある場合相手を安心させることにより、通常よりも許容レベルの高い回答結果へ誘導することができる。
何度も言うが、この手法は誠意があるセールスをする限り成約段階でしっかり説明をする義務があるが、最後の締結の段階で
しっかりとした説明、ケア、責任が取れないのであれば使わないほうがいいだろう。それだけリードセールスとは強力な武器と
なるし、また締結を怠ると貴方のクビを締めることにもなってしまうのである。
しかしながらリードセールスなくしてセールスレベルをあげることは容易ではないだろう。貴方が並外れた美貌をもっていて、
著名で、B君の大ファンな芸能人であればわざわざこんな苦労をしなくともサインを入れるだけで快く1万円で灰皿を買っていく
と思う。しかしながら現実私のサインにはそんな価値はないし、貴方のサインもそんな価値はないであろう。もちろんこの
リードセールスは商品販売だけでなく異性とのコミニュケーションにも、ネットワークビジネスワーカーの会員獲得にも応用は
効くし、大きな効果をもたらすことになる。
誰もがわかる様な一般的回答は質問系で相手に答えてもらおう(一般常識を聞くのではない。それではバカにされてるのかと逆に
貴方は評価を下げることになる)。
1択の質問に答える事により、貴方は相手に賛同することができる。賛同は相手にとって貴方を信頼する重要なポイントだ。
常に相手の安心感を推し量ってフォローすることが大事である。焦り急ぐと失敗するだろう。
誠意は持たなくてはならない。ただ騙すのであればそれはただの悪質業者であり、セールスマンではない詐欺師である。
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